雑記 > とある飲食店の営業終了後

2006年01月30日

ある日のことである。

その日はいつもに増して忙しく、その上従業員の数が少なかったので、 せいぜい煙草を1〜2本吸えるだけの休憩しか取れず、無論食事を取る暇もなかった。

朝から晩までぶっ通しで働き、ようやく営業も終わり片付けも終わって、 事務所で一服してた時だ。

バイトA:「吉野屋行きますけど、なんか要ります?」
一同:「おぉー気利くなー」

皆くたくたで空腹感は頂点に達していた。
頼まない訳がない。
皆それぞれ自分の注文をバイトAに頼む。

私:「牛焼肉丼の大盛り買ってきてくれ。」
バイトA:「分かりました。」

それぞれの注文を聞き終えた後。 バイトAは吉野家に向かう。

しばらくしてバイトAは大きな吉野家の袋をぶら下げて帰ってきた。

バイトA:「はい、豚丼大盛りと並、牛すき焼き弁当の大盛り、牛焼肉丼並」

それぞれに配り終えた後、バイトAは吉野家の袋をくしゃくしゃにしてゴミ箱に捨てる。

一瞬私は状況を把握できないでいた。
なぜなら、私が頼んだのは牛焼肉丼大盛りだからである。 皆はそれぞれ自分が頼んだ注文をむさぼるように食べている。
バイトAも豚丼を必死に食べている。
私は呆然としながらも聞いてみた。

私:「ちょ、お前俺の分は?」
バイトA:「買ってないすよ。」
私:「え!?なんで?」
バイトA:「だって僕、他の人の分買う金ないのに37toさんお金くれなかったですもん。」
私:「・・・」

信じられない。

私はくたくただった。
朝から何も食べず、空腹と戦いながらぶっ通しで必死に働いた。 しかしそれも牛焼肉丼さえ食べれば万事OK。

十数時間ぶりの食事を夢に見て、バイトAにその夢を託した。 私はもうすぐ実現するであろうその夢を目前にして、胸の中は期待であふれ返りそうだった。
しかし私の気持ちは一瞬にしてそのベクトルを怒りに向けた。

私:「はあ!?お前金無いんやったら普通言うやろ?」
バイトA:「だって他のみんなはちゃんとお金払ってくれてますもん。」

答えになってない。

確かに皆がお金を前もって払ってたのは知っていた。 しかしその時、私はPCで売上日報を書いている最中で、 キーボードのホームポジションから手を動かすのが嫌だったのだ。 一人分を先払いするぐらいのお金は持ってるだろう。 そう考えた私は当然のように作業を進めた。

普通の人ならば先払いする金が無かったら、
「手持ちのお金が無いんで先もらえますか?」
と聞くであろうところだ。

実際に注文が覚えきれず、メモを取っていたので、 百歩譲ってお金をもらうべき人数が多過ぎて(せいぜい4〜5人なんだが)把握できなかったとしよう。

注文する時はメモを見て注文するのだから、牛焼肉丼大盛りが買えない事にそこで気づくはずである。 それをこの男は吉野屋から電話することも無く、帰ってきて
「すいません、お金足らなくて37toさんの分買えなかったです。」
と言う訳でもなく。 平然とお金をもらった人の分だけ配り、配り終えると即座に自分の分に喰らいつき、 私が聞くまで当然の様に何も言わないのだ。

怒らないはずがない。

通常ならば怒りに向いたベクトルは導火線に火をつけ、 十数時間ぶりの食事に期待する気持ちを派手に爆発させるはずである。

ところがこの時の私はどうやらカロリー不足だったのか、導火線に火はつくものの引火せずに消えてしまった。 私は呆れて、

私:「もうええわ。」
バイトA:「はぁ、そうですか・・・・。」

この男何も分かってない。

私の気持ちを察した他のスタッフが
「半分食べますか?」
と聞いてきた。

私:「腹減ってるやろうから、遠慮しとくわ全部食べ。」
意気消沈した私を気遣ってくれる他のスタッフを逆に気遣い、 一刻も早く家に帰るため作業に集中した。

「お疲れ様でした!」

空腹を満たし、幸せそうな笑みを浮かべてさっそうと帰っていくバイトA。

この男ただ者ではない。

posted by 37to at : 01:28 | コメント (0) | トラックバック (0)

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